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独り言

石原慎太郎:歴史の原理

今日世界一の大国と自負するアメリカは

実は世界で最も遅く奴隷を解放した国でしかなく、

その奴隷たちも極めて最近まで公民権をあたえられることなく過ごしてきた。

 

歴史的に見てアメリカが人権の保護に関して最も厚い国だなどというのは

彼等自身の虚妄であって、例えばスペインが国家として凋落し、

その過酷な支配からようやく解放されようとしたフィリッピン

スペインに代わって乗っ取り植民地にしたアメリカは、

独立を志す者たちをバターン半島に追いこみ四十万人もの者たちを

餓死させて駆逐した。

 

アメリカが金科玉条に唱えている人権の保護の実態は、

シナの覇権主義によって実質的に消滅したチベットへの姿勢を眺めてもうかがえる。

民族の個性もその文化も抹殺されてしまったあの国あの民族を

本気で同情しているのは私の知る限り著名な俳優のリチャード・ギアくらいのものだ。

 

日本とチベットではアメリカにとっての比重が違うという者もいようが、

国際関係の中でアメリカにとって最重要なものは所詮自国の利益でしかあり得ない。