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独り言

「フォークランド」に学ぶ

英国とアルゼンチンが南米最南端から約600キロのフォークランド諸島の領有権をめぐって、

約70日間の戦闘に発展した「フォークランド紛争」

 

1982年4月2日。南米最南端のホーン岬から約600キロ北東の大西洋に浮かぶフォークランド諸島に、

アルゼンチンの艦隊が迫った。

島のラジオは「侵攻軍は空母1隻、駆逐艦4隻、揚陸艦4隻」と報じた。島を守る英海兵隊は70人ばかり。

大軍を前に、わずかな抵抗を試みただけで降伏するしかなかった。  

 

フォークランド紛争について昨年末(2012年)サッチャー首相の証言が公開されたが、

その中で、鉄の女ともいわれたサッチャー氏にも誤算があったことが白日のもとにさらされた。

上陸2日前まで全く予期していなかったのだ。

「侵攻などというばかげたことをするとは、考えてみたこともなかった」

 

 2001年に債務不履行に陥ったアルゼンチンは、傷を引きずったまま世界的な景気後退に見舞われた。

有効な対策を見いだせない政権は保護主義に走り、

自動車などの輸入制限をめぐって日本、米国、欧州連合(EU)に世界貿易機関に提訴された。

国内では経済失策に対する大規模デモも起こり、政権への風当たりは強い。

これに対して弁舌家の女性大統領が繰り出すのは、欧米批判と「マルビナス奪還」のかけ声だ。

「180年前に島を奪われた」折しもフォークランド周辺で、英国企業による石油探査が進む。

大統領はこれら「資源搾取」に対する法的措置や、英国の軍事力強化に対する国連への提起に言及。

フォークランドに立ち寄ったクルーズ船の、アルゼンチン入港が拒否されるという事態も発生している。  

フォークランドでは3月、帰属の希望をたずねる住民投票が行われる。

約3千人の住民のほとんどは英国系で、結果は開票するまでもない。  

英国が領有の根拠とするのが、住民意思の尊重。

アルゼンチンは、いまの住民は先の住民を追い出してから来た植民者の子孫だとし、

住民投票は茶番だと批判している。  

アルゼンチンは旧宗主国のスペインからフォークランドの主権を継承したが、

1833年、英国に砲艦で奪われたとしている。  

今年はじめ、フェルナンデス大統領は英紙にキャメロン首相あての公開書簡を掲載した。

「180年前に英国はマルビナスを奪った」と批判し、「いかなる形態の植民地主義も終結させる」

ことを促した1960年の国連決議などを根拠に、対話による解決を迫った。  

 

中国にとってアルゼンチンの主張は、尖閣に応用できる都合がいいものだ。

日清戦争を通じて日本に掠め取られたとの主張を、同じ脈絡に置ける。

中国はすでに英国から香港返還を実現しており、ひとつの「植民地形態」を終わらせた実績もある。  

1965年、国連はフォークランドについて「植民地時代の残された問題の一つ」と決議し採択した。

欧米の相対的な政治力が弱まる一方、国連では数で勝る旧植民地諸国の発言力も強まっている。

フォークランドについては中南米諸国がアルゼンチン支持で固まっており、欧米を圧倒する勢いだ。

これらの国々との連帯は中国にとっても強い援軍となる。  

 

2011年9月、英国の退役将軍らがまとめた報告書は刺激的だ。

軍事予算削減が緊張高まるフォークランド防衛の弱体化を招くと指弾し、

「中国の支援を受けたアルゼンチン軍に奪われた場合、奪還は極めて難しい」と結論づけた。

世界の事例を尖閣にあてはめ「尖閣奪還」もくろむ フォークランド紛争を招いた一因が、

当時の南大西洋における英軍の存在感の欠如とされる。

アルゼンチンの軍事政権は「英国が反撃に出ることはない」と判断していたという。  

 

ジェームズ・ホームズ米海軍大学准教授は昨年(2012年)の論文で、

「アルゼンチンが領有権の主張を高めだしたことと、英軍の奪還能力が減退していることは無関係

ではない」と指摘した。また「南大西洋で起こっていることに中国の戦略家が注目していることは

間違いない」とし、自国に近い海域にフォークランド紛争をあてはめて多くの教訓を得ているという。  

 

「取り返せるかどうか誰にもわからなかった」とまで思い詰めたサッチャー首相はその後、

断固とした奪還作戦に転じた。軍事政権と関係が良かった米国も最初は中立の立場で介入したが、

同首相はレーガン大統領を説き伏せて英国支持につかせた。  

英国側に255人、アルゼンチン側にも約650人の戦死者を出したフォークランド紛争の

二の舞を避けるため、日本も学べる教訓は多い。

尖閣に一大事があれば、日本全体が巻き込まれる。

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今の尖閣問題に当てはめられる。歴史が教えてくれている。

一旦上陸・占領されてしまっては、取り返すのは難儀。

かの英国(サッチャー首相)も苦悩の末の英断だったんでしょう。

 

日本は「主権」を守るため、己自信にその覚悟があるのだろうか。

 難儀な状態になる前に、日本も国際的な戦略を練って事前に対応していくべき。