礼節
2012年10月28日、東京競馬場で行われた秋の天皇賞の後のこと。
レースを制したミルコ・デムーロ騎手が正面スタンド前で馬を下りた。
芝に片ひざをつき、貴賓室の天皇、皇后両陛下に深々と頭を下げた。
それにしても、勝利の興奮の中でも両陛下への礼節を忘れないその所作に、
こちらが頭を下げたくなった。
それで思い出したのは、9月に開かれたあるパーティーの席だ。
乾杯役をつとめたのは、英国人ジャーナリスト、ヘンリー・ストークス氏だった。
英語で日英の近代史などについて語った後、日本語でこう「音頭」をとった。
「天皇陛下バンザイ!」
ストークス氏は長くタイムズ紙東京支局長などをつとめた。
三島由紀夫と最も親しかった外国特派員としても知られる。
日本文化に造詣が深いジャーナリストの思いがけぬ「音頭」だった。
デムーロ騎手にしてもストークス氏にしても自然な形で、両陛下に敬愛の念を示した。
それぞれの母国の精神風土がもつ懐の深さだろう。
大統領が天皇陛下に謝罪を求めたり、
日本文化を理解せず靖国神社参拝を非難したりする。
そんな近隣諸国とは雲泥の差がある。
もっとも逆の立場で、日本人が他国の国王や女王に礼を失せずにすませるのか気になる。
教育現場では相変わらず国旗、国歌を無視する教師があとを絶たない。
しかも一部のマスコミがこれをあおるようなら、いささか心もとない。
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やっぱり「教育」が大切なんだと思う。
21世紀の世界は交通網の発達でより狭くなってきている。
これからの日本は「礼節」をわきまえた、
世界基準で活躍できる日本人を育てて行って欲しい。
元々「礼節」は日本の得意分野なのだから。
大局的な観点から、近隣諸国の小言などには大人の対応で。
それが、これからの日本が進むべき道。