イプシロン:宇宙開発の新時代
日本の宇宙開発にとって、大きな飛躍につながる打ち上げである。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の新型ロケット「イプシロン」初号機が、
鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所を飛び立ち、搭載した惑星観測衛星「スプリントA」を
予定の軌道に投入した。日本の新型ロケットは2001年の主力機「H2A」以来12年ぶり。
開発陣は「ロケットの世界に革命を起こす」と意気込む。
今回の成功を第一歩として、日本の技術で宇宙開発に新風を吹き込んでもらいたい。
イプシロンは全長24・4メートルの固体燃料ロケットで、小惑星探査機「はやぶさ」を打ち上げた
M5ロケットの後継機にあたる。糸川英夫博士のペンシルロケットを源流とし、
日本が独自に発展させた固体燃料ロケットが、M5廃止以来7年ぶりに復活した。
伝統を継承する一方で、革新的な技術が導入された。
ロケット本体に人工知能を搭載し、これまで多くの人手を必要とした打ち上げ前点検を全自動化した。
わずか2台のパソコンで打ち上げ業務を管理する「モバイル管制」を実現し、
発射台での組み立て期間も従来の6分の1の約1週間に短縮された。
日本のロケットはコストや打ち上げ実績(回数)で米露欧などの後塵を拝し、
衛星打ち上げ市場では苦戦を強いられている。イプシロンは徹底した効率化でコスト低減も図った。
世界をリードする打ち上げシステムは、衛星打ち上げ市場で「勝ち組」に転じるための
セールスポイントにもなる。ロケットや衛星、探査機は近い将来、人工知能を搭載した
自律型の宇宙飛行ロボットに進化していくだろう。さらなる革新に挑み、新時代を築いてほしい。
課題も指摘しておこう。
8月下旬に予定された打ち上げは2度にわたって延期された。いずれも単純なミスが原因という。
打ち上げ前に発見できたことは評価するが、小さなミスの陰には大きな失敗の芽が潜んでいる。
組織的な問題点を含め、ミスの原因をきちんと検証することが、今後の信頼性向上には不可欠だ。
日本のものづくりには優れた伝統があるが、時代に流され衰退していく技術も少なくない。
イプシロンに盛り込まれた「伝統と革新の融合」は、製造業の再生モデルにもなるのではないか。
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技術立国→日本。
車でも携帯電話でも食でも何でも改良して進化させていく。世界一、他に類を見ない技術力。
伝統を継承しつつ革新的な技術を。←素晴らしい!
あらゆる分野で、日本の技術力をどんどん世界に示して欲しい。